認知行動療法(CBT)の基礎講座では、まず認知、感情、行動が相互に影響し合うという基本モデルを理解します。例えば、試験前に「どうせ失敗する」と考えると不安になり、勉強を避けることで、さらに「やっぱり失敗する」という考えを強めてしまうような悪循環を学びます。次に、特定の状況で無意識に浮かぶ考えである自動思考を認識し、その妥当性を評価する方法を習得します。例として、人前で話すときに「みんなが自分を笑っている」と自動的に考えてしまうケースを考えます。さらに、認知の歪み、つまり考え方の偏りや歪みのパターンを理解し、例えば、一度テストで悪い点を取っただけで「自分は絶対にダメだ」と過度に一般化してしまうケースなどを学びます。また、考え方の妥当性を検証するために、意図的に行動を変えてみる行動実験の基礎も学びます。例えば、社交不安を持つ人が、実際には人に話しかけても嫌な反応をされないか試すといった具合です。
さらに、認知再構成法として、自動思考を記録し、その思考がどのような状況で発生したのか、どのような感情を伴っていたのかを記録する方法、記録した自動思考の妥当性を様々な角度から検証する方法、そして歪んだ思考をより現実的で柔軟な思考に置き換える方法を学びます。例えば、「私は仕事ができない」という思考を記録したら、その根拠となる事実と反証となる事実を両方挙げて検証し、「今はまだ改善の余地がある」という思考に変える練習をします。
行動療法では、問題となる行動がどのような状況で起こりやすいか、その行動によってどのような結果が得られているかを分析する行動分析を行います。例えば、買い物依存の場合、どのような状況で買い物をしたくなるのか、買い物をするとどのような感情になるのかを分析します。また、気分が落ち込んでいる時に、気分を改善するために積極的に行動する行動活性化、恐怖や不安を感じる状況に段階的に慣れていく漸進的暴露、そして緊張を緩和するために呼吸法や筋弛緩法などのリラクゼーション法も学びます。
問題解決スキルでは、曖昧な問題を具体的に定義する方法、問題に対する複数の解決策を考え出す方法、実行可能な解決策を選び、実際に行動に移し、その結果を評価する方法を学びます。例えば、「なんだかうまくいかない」という問題を「仕事でプレゼンがうまくいかない」という具体的な問題に置き換え、練習時間を増やす、資料を見やすくするなどの解決策を挙げ、実際に練習時間を増やしてその効果を評価します。
具体的な疾患への応用例として、うつ病における自動思考、認知の歪み、行動活性化の重要性、不安障害における認知の歪み、回避行動、漸進的暴露の有効性、パニック障害におけるパニック発作のメカニズム、パニックに対する考え方、呼吸法などを学びます。
加えて、CBTの倫理観、クライアントとの良好な関係構築など、治療者としての基本的な姿勢も学びます。これらの例はCBTを学ぶ上での基礎であり、実際の講座ではケーススタディやロールプレイを通して理解を深めます。学習目的に合わせて必要な例を重点的に学ぶことが重要です。