スキーマ療法の基礎講座では、まず、子ども時代に形成される、自分自身や他人、世界に対する根強い信念やパターンであるスキーマ(早期不適応的スキーマ)を理解します。例えば、見捨てられるという信念である遺棄スキーマ、自分は価値がないという信念である欠陥/恥スキーマ、人は信用できないという信念である不信/虐待スキーマなどを学びます。次に、スキーマが活性化された状態、またはそれに対応する感情や行動のパターンであるスキーマモードを理解します。傷つきやすく助けを求める状態である脆弱な子どもモード、怒りや反発を示す状態である怒った子どもモード、自分や他人を厳しく批判する状態である懲罰的な親モードなどを例に挙げます。また、子どもの頃に満たされる必要があった基本的感情ニーズが満たされなかった場合にスキーマが形成されるという理解、スキーマがどのように自己永続的に働き行動や人間関係に影響を与えるのか、そしてスキーマを維持する行動パターンについても学びます。例えば、遺棄スキーマを持つ人が、パートナーに依存的になり、相手が少しでも離れようとすると強い執着を示すケース、欠陥/恥スキーマを持つ人が、人前で目立たないように振る舞ったり自己批判的な態度をとるケースなどを理解します。
さらに、スキーマを特定・評価するために、質問紙(Young Schema Questionnaireなど)の使用方法を学び、過去の経験や親子関係がどのようにスキーマの形成に影響を与えたかを探り、現在の人間関係や行動パターンからスキーマの存在を推測する方法を学びます。また、特定の状況でスキーマがどのように活性化されるかを観察します。スキーマモードを特定・理解するためには、感情、行動、思考パターンから、どのようなモードが活性化しているかを識別し、様々なスキーマモード、例えば脆弱な子どもモード、怒った子どもモード、衝動的な子どもモード、従順な降伏モード、過補償モード、健全な大人モードなどを理解します。そして、不適応なモードから健全な大人モードに切り替える方法を学びます。
スキーマの変容技法としては、スキーマの形成に関連する過去のトラウマ的な場面をイメージし、新たな視点や感情を体験するイメージ再構成法、スキーマモードを演じ、それを観察することでモードの理解を深める役割演技、スキーマに結びついた感情に焦点を当て安全な形で表現する方法、過去に満たされなかったニーズを治療関係の中で満たしていく試み、スキーマに基づく考え方をより現実的で適応的なものに変えていく認知再構成、そしてスキーマを維持する行動パターンを変え新しい行動を試す行動実験などを学びます。
クライアントとの関係性においては、クライアントのスキーマモードや感情を共感的に理解し、安全で信頼できる治療関係を築き、クライアントのスキーマ変容を促すことを学び、治療関係における適切な境界線を設定し、クライアントの自律性を尊重することを学びます。そして、スキーマ療法における倫理観として、クライアントの安全を最優先に考え、治療を進め、専門家としての知識や技能を維持し、倫理的な責任を果たすことを学びます。具体的なケーススタディを通して、スキーマ療法の実践的な応用を学び、自己体験を通して、自身のスキーマやモードを理解する機会を持ちます。これらの例は、スキーマ療法を学ぶ上で基礎となるものであり、実際の講座では、ケーススタディやロールプレイを通して理解を深めていきます。学習目的に合わせて必要な例を重点的に学ぶことが重要です。