病因病理学

病因病理学

東洋医学では、病気の原因や進行を「病因(びょういん)」と「病理(びょうり)」という概念で説明します。病因とは病気の原因となるもの、病理とはその病気がどのように体の中で進行していくかのプロセスです。

西洋医学では、ウイルスや細菌といった外的要因や、遺伝、生活習慣といった内的要因を重視します。一方、東洋医学では、環境の変化や感情、体内のバランスの崩れが病気の本質的な原因と考えられます。

本講義では、東洋医学的に病気の原因を説明する理論を学び、外因(風・寒・湿など)、内因(喜怒哀楽などの感情)、および体内の不均衡(気滞、血瘀、陰陽失調)について詳しく見ていきます。

病因の分類

東洋医学では、病因は大きく三つに分類されます。
1. 外因(がいいん):自然界の気候や環境の影響
2. 内因(ないいん):感情や精神状態の影響
3. 不内外因(ふないがいいん):生活習慣や体質によるもの

この中でも、外因・内因・体内の不均衡について詳しく説明していきます。

外因:自然の影響による病気

東洋医学では、外的な環境の変化が病気を引き起こす要因になると考えます。特に、風(ふう)、寒(かん)、暑(しょ)、湿(しつ)、燥(そう)、火(か)の「六淫(りくいん)」が病気の主な外的要因とされます。
• 風邪(ふうじゃ)(風の影響)
風は動きやすく、ほかの邪気(寒や湿など)を伴いやすい特徴があります。
• くしゃみ、鼻水、咳
• 関節痛や頭痛
• めまいやふらつき
• 寒邪(かんじゃ)(寒さの影響)
寒さは血流を滞らせ、筋肉を緊張させる性質があります。
• 冷えによる腹痛
• 関節のこわばりや痛み
• 風邪をひいたときの悪寒
• 湿邪(しつじゃ)(湿気の影響)
湿気は体の水分代謝を滞らせ、重だるさやむくみを引き起こします。
• むくみや関節痛
• 消化不良や下痢
• 頭が重い感じ
• 燥邪(そうじゃ)(乾燥の影響)
乾燥は体の水分を奪い、粘膜や皮膚を傷つける要因になります。
• 乾燥による咳やのどの痛み
• 肌のかゆみや乾燥
• 便秘
• 火邪(かじゃ)・暑邪(しょじゃ)(熱の影響)
火や暑さは、体内の炎症や熱を引き起こします。
• 発熱やのぼせ
• 口内炎や肌の炎症
• 精神的なイライラ

内因:感情の影響による病気

東洋医学では、感情の変化も病気の原因となると考えます。これを「七情(しちじょう)」といい、怒・喜・思・憂・悲・恐・驚の七つの感情が、特定の臓腑に影響を与えるとされています。
• 怒(いかり) → 肝(かん)
怒りすぎると肝の気が上昇し、のぼせや高血圧、頭痛を引き起こします。
• 頭痛
• 目の充血
• 便秘
• 喜(よろこび) → 心(しん)
喜びすぎると心の気が散乱し、精神が不安定になります。
• 動悸
• 不眠
• 集中力の低下
• 思(おもいすぎ) → 脾(ひ)
考えすぎると脾(胃腸)の働きが低下し、消化不良や食欲不振になります。
• 胃もたれ
• 下痢・便秘
• 倦怠感
• 憂(うれい)・悲(かなしみ) → 肺(はい)
悲しみや憂いが強いと肺の気が消耗し、免疫力が低下します。
• 息苦しさ
• 風邪をひきやすい
• 乾燥による咳
• 恐(おそれ)・驚(おどろき) → 腎(じん)
恐れや驚きが強いと腎の気が弱まり、エネルギー不足になります。
• 腰のだるさ
• 夜間頻尿
• めまい

体内の不均衡による病気

東洋医学では、体内の気・血・水(津液)のバランスが崩れることで病気が発生すると考えます。
• 気滞(きたい)(気の流れが滞る)
• ストレスによる胸のつかえ
• 喉の違和感
• お腹の張り
• 血瘀(けつお)(血流が悪くなる)
• 生理痛や血行不良
• しこりやあざができやすい
• 手足の冷え
• 陰陽失調(いんようしっちょう)(陰と陽のバランスが崩れる)
• 陰虚(いんきょ):ほてり、寝汗、不眠
• 陽虚(ようきょ):冷え、疲れやすい、むくみ

まとめ

東洋医学では、病気の原因を「外因(気候)」「内因(感情)」「体内の不均衡」として捉えます。環境の変化や精神的な影響、体のバランスの乱れが健康に影響を及ぼすため、日常生活でのケアが重要です。風邪をひきやすい時期には体を温め、ストレスが溜まったら気を巡らせる工夫をするなど、病気になる前に対策をとることが、東洋医学の大きな特徴です。

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